サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会で1次リーグ敗退に終わった日本代表。日本戦の中継や関連番組の視聴率が伸び悩み、テレビ局にも落胆が広がっている。関係者はブラジルとの時差や視聴環境の変化などを理由に挙げつつ、高騰を続ける放映権料と“結果”のバランスに頭を悩ませている。



 「通勤時間帯を甘く見ていた。やはり日本は健全で、休まずにちゃんと会社に行くんだなと…」。日本テレビの小杉善信専務は6月30日の定例会見で、中継した日本対ギリシャ戦(日本時間20日)の視聴率をそう振り返った。平均視聴率は33・6%で、W杯本大会の日本戦としては、過去最低を更新していた。



 過去4大会の日本戦では視聴率50%を超える中継が1試合以上あったが、今大会はNHK総合のコートジボワール戦(日本時間15日)が46・6%(後半)、テレビ朝日のコロンビア戦(同25日)が37・4%と大台超えはならず。TBSテレビの石原俊爾社長は7月2日、「日本戦はそれなりの高視聴率だが、各局ともハイライト番組が伸びていない。日本が残念な結果になり、視聴者もしゅんとしてしまったのでは」と推測した。



 日本戦がいずれも午前中の早い時間から放送され、民放が中継した2試合は平日の通勤、通学時間帯と重なったことや、NHKBS1でも同時放送されたことなどが数値に影響したとみる関係者は多い。



 テレビ朝日の早河洋会長兼CEOは1日、「パブリックビューイングやスポーツバー、ワンセグなどで見る人が増え、視聴形態が変わってきた」と分析。その上で「サッカーはスポーツの中でナンバーワンの視聴率を取るコンテンツ」と述べ、社会的な注目度は依然高いとの考えを示した。



 ただ、W杯の放映権料は年々高騰し、2010年の南アフリカ大会では民放全体の収支が赤字に。テレビ東京の高橋雄一社長は6月26日、「(テレ東として今大会は)赤字。でも、サッカー放送を育て、ニーズに応えないといけない」と苦しい事情を明かした。



 一方、ラジオ各局も日本戦を放送したが、TBSラジオはコロンビア戦以外の2戦の放送を初めて見送った。入江清彦TBSラジオ&コミュニケーションズ社長は7月2日、「レギュラー番組の支持が高く、リスナーの多様なニーズに応えるため」と説明。大規模スポーツイベント中継のあり方を見つめ直す動きも出始めている。(視聴率はいずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)








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